今年の日本列島、少なくとも島根県は暖冬だ。
まったくと言っていいほど雪が降らない。
雪どころか、
「四季から冬が消滅したのでは?」
というくらい気温が高い。
そうなると、実に探検がしやすい。
なぜ暖冬だと探検がしやすいのか?
結論から申し上げると、
・冬は里山四天王(熊、猪、蛇、蜂)がほぼお休み状態
・雪が降らなければ山に入りやすい(探検先の多くが山なので)
せいぜいこれくらいが理由だが
”安全第一”がモットーである我々の探検には
非常に好条件の2019年冬シーズン。
とても暖かい冬だった。
この先ずっと、こんな天気が続くと信じていた。
2020年2月17日午前10時。
我々は島根県江津市桜江町長谷(ながたに)を車で走っている。
いったい暖冬とは何だったのか。
「一足早い、春のピクニックだぁ~」
とか思っていた自分の愚かさよ。
今年度屈指の冷え込み。
まったく想定していなかった雪中探検となった。
もはや冬の八甲田山へ挑む心境である。
ワラバラ探検隊は生きて下山できるのか??
タント号 V.S. 雪の坂道
噺山(はなしやま)――
島根県江津市桜江町と同県浜田市金城町の市境にあり、標高は475メートル。
桜江町出身の知り合いにこの山のことを聞いたが
「そんな山あったっけ?」
という反応が多かった。
有名な山ではなさそうだが、事前の情報収集によればこの山は
『童話”舌切雀”原話の里』らしい。
舌切雀のあらすじは割愛するが、雀の舌を切るなんてひどい話だ。
(たとえ東京都から警告されても、我々探検隊が全力でスズメを保護する!)
想定外の雪には見舞われたが、登山口近くまで車で行けるらしく、
思ったほど激しい探検にはならないだろう、というのが事前の予想。
登山道へ続く道に入った途端、轍が消えた。
ここまでの道には雪はあってもある程度溶けていたので問題なく走行できたが、
男3人+重戦車ODAWARAを乗せた探検軽車両タント号(2駆)でどこまで行けるか。
するん、するん、するん……
案の定、タイヤは空転奉り候。
のぼりはじめて100メートルも進んでいない。
大自然の猛威(積雪3cm)の前に、人はこんなにも無力なのか……。
噺山、侮れない……!
to be continued…
雪の噺山を”徒歩”で攻略せよ
まだだ、まだ終わらんよ!
かのマリー・アントワネットも
「タントがダメなら、ご自身の足でお歩きになればいいじゃない」
と申し奉り候。
我々に残された道は ” 徒歩 ” のみだ。
ここで今回の探検メンバーを紹介しよう。
隊員番号7番・モリヤマ(写真中央)。
モリヤマ隊員は第8次探検、第12次探検に参加した歴戦の猛者である。
そして新入りのマツモト隊員(写真左、隊員番号12、趣味シロアリ)
マツモト隊員は以前コチラの講義に参加してくださり、
この探検隊にも興味をしてしてもらった。
相も変わらず男だらけのウホウホ探検隊だが、今回はこのメンバーでお届けする。
車を停めた場所からおよそ50分。
山頂手前の遊歩道入口に到着した。
そこにはひらけた場所があり、おそらく車でのぼった場合はここに駐車できるのだろう。
なんとここから山頂までたったの260メートルほどらしい。
車でのぼれば相当楽だが、「山に登った感」はかなり薄まりそうだ。
また、看板にはしっかりと
『童話”舌切雀”原話の里』
と書かれている。
ちなみに、看板には
『地域社会ボランティア活動
オチュン 善の杖』
との文言も。
看板の柱には塩ビ管が括り付けられていた。
おそらく、この遊歩道をのぼる際に使ってもらう杖をストックするためのものなのだろう。
この日は雨傘が一本入っているだけだった。
※先に登場した善の杖は、雪で道に倒れ掛かっていた竹を切り出して使いました
噺山、攻略!
車を停めた場所から約1時間。山頂に到着。
山頂から日本海を望む。よい眺めだ。
山頂からは360度ほぼパノラマで周辺を見渡せる。
つまり、遮るものがないので風がハンパない。
1時間山道を歩きつづけて熱くなった体が急激に冷却されていく。
ああ、ここに温かいコーヒーの一杯でもあれば……
しかしここは島根県江津市桜江町と島根県浜田市金城町の市境の山の中。
そんな環境で温かいコーヒーが飲めるわけが……
「あるよ」(CV 田中要次)
そこにはやかんでお湯を沸かす旅団長の姿が!
最近ネットで買いそろえたという道具と、
Make Your Own Gear学という
GO▶︎つくる大学の講義でつくったアルコールストーブで
手際よくセッティングする旅団長。
冬の雪山でお湯を沸かしてコーヒーを飲むなんて、
カッコイイひとたちのやることであって、
我々のような弱小探検隊には無縁だと思っていたが、
カッコイイだとか弱小だとかいつも途中で引き返すビビリ野郎だとか、
そんな誰かの価値基準なんて、
このコーヒーの前では野暮だ。
ただたたコーヒーがうまい。
体が温まる。
それでも強風は吹き続け、
徐々に天候が悪化しだしたので下山することに。
次は天気のよい、温かい春にでも再訪するとしよう。
噺山、攻略完了。
おまけ1 温泉リゾート・風の国
下山すると時刻は午後1時前。
3時間におよぶ過酷な探検で隊員たちは疲労困憊、空腹をひっさげていた。
噺山のある江津市桜江町長谷は市内でもかなり山の中にある地区だが
温泉リゾート施設・風の国がある。
1995年にオープンしたが、業績不振で2018年に江津市が譲渡先を公募し、
ちょうど1年前の2019年2月に譲渡先が決まり、再出発した施設だ。
温泉はもちろん、食事も宿泊もできる。
敷地内には手漉き和紙でさまざまな作品や製品をつくっている
石州勝地半紙(せきしゅうかちじばんし)の工房もあって、手漉き体験もできる。
腹がペコちゃんな探検隊一行はレストランへ直行した。
うまし!!
定食、丼、麺ものなど、種類も豊富だ。
おまけ2 ウホッ!男だらけの湯けむりとアイス
腹は満たされた。
しかし山をのぼろおりしたので、けっこう汗をかいている。
温泉リゾートに来たのに温泉に入らずに帰ることができるだろうか。
いやできない(反語)
ということで、温泉もいただくことに。
当初の予定であれば、先日道の駅で開催されたグルメグランプリにおいて
スイーツ部門で優勝した『もち麦と大麦若葉のアイス』なるものを検める予定だったのが
先方の急用により、この日は試食を断念した。
聞けばもち麦のプチプチとした触感と、
大麦若葉のあっさりした風味が絶妙な商品(らしい)
アイスにはあのシックスプロデュースが使用されているそうなので
そりゃあ美味しくないわけがないですよね~。
これについてはまた別の機会にレポートしたい。
(風の国での販売希望!!)
風の国、ぜひご贔屓に!
温泉リゾート 風の国
https://www.kazenokuni.jp/
石州勝地半紙
https://sekishu-kachijiwashi.com/
to be continued…
次回
『天狗ノ山ノ”タマト”様 前編』