事務局の日常vol.007|未確認のトンネルを探しに

事務局Bです!

みなさんは“未成線”という言葉を聞いたことがありますか?

今年(2018年)4月1日に、江津市から広島県三次市を結ぶ

JR三江線が“廃線”になったのはご存知の方も多いかもしれません。

未成線と廃線はちょっと違います。

“未成線”とは、簡単に言うと、未完成に終わった鉄道路線のことです。

途中までつくったけど、や~めた、という感じです。(そんなに軽くないか)

この未成線、全国にけっこうな数があります。

島根県内には、

広浜鉄道今福線島県可部-島根県田市 ※wikipediaには可部線と記載)

・岩日北線(山口県国市北部-島根県津和野町原)

未成線が2つあります。

 

このうち、今福線は、浜田市側から工事が始まり、

建設途中のままの遺構が数多く残存しています。

今福線(旧線)のトンネルと橋脚。今福線は戦前と戦後のいずれも計画⇒建設⇒途中で中止という、全国的にも珍しい”2回中止になった”未成線です。

そんな浜田の未成線・今福線ですが、建設中止になってからは

特に見向きもされず、ひっそりと時間が経過していました。

一方、2010年に島根県技術士会で“今福線研究分科会”が設立され、浜田市内にある遺構の調査が行われます。

廃線マニアほどではないそうですが、未成線マニアなる方々もおられるそうで

同会が今福線マップを作成。

それが浜田市の目にとまり、今では観光資源としての活用に向けて活動が続いています。

実は私 事務局Bは、島根県技術士会の準会員でして(まだ1次試験しか合格してませんが……)

今福線研究分科会の部会員でもあります。

かれこれ5年ほど活動に参加しており、これがなかなか面白いので

今回はその様子をちょっとレポートしたいと思います(前置き長くてすみません)

 

未確認のトンネルを調査せよ

今福線研究分科会は毎年活動しており、年に1回現地踏査を行っています。

今年(2018年)はいくつかある遺構のうち、同会として未だ確認ができていない

『有福第四トンネル』

を発見するのが、現地踏査の目的の一つでした。

トンネルには下府川を渡河する必要があり、今までの意向調査の中では難易度は高めです。

※今福線の遺構への立ち入りは許可された場所以外は入れません!ご注意を。

下府川を渡河するようす。浅い場所を探して、はしごで渡ります。

川を渡り山へ。事前に地図の等高線と図面で確認したところ、トンネルは小高い山の中腹にあることが分かりました。なかなかの急斜面を登っていきます。

道なき道を進み、探すこと10分。

ついに『有福第四トンネル』を発見しました。

まわりには雑木が生い茂り、コンクリート構造物特有の無機質さが、どこかもの悲しさを訴えてきます。

このトンネルの発見時の興奮は、なかなかエキサイティングなものがあります。

トンネル周辺の雑木を整理し、ちょっと分かりにくいですが、トンネルの場所をピンクリボンで目印。(写真中央あたり)

 

こどもの学びのツールとして

壮大な鉄道計画を夢見た地元の悲願は成りませんでしたが、今でこそ注目を浴びつつある今福線、

今後は地域資源として、たとえば学校の社会科授業の中にも入ってくるかもしれません。

そのときに、資料を読んだり普通に見学するだけでは、ちょっと面白みに欠けます。

そこで、こんな使い方はどうでしょう。

今福線研究分科会の調査では、当時の設計図と、地図を照らし合わせて、

おおよその位置に目星をつけて現地踏査を行います。(ここがミソ)

今福線の場合は山間地を通る路線のため、山に入らないと確認できないものがあるためです。

地図の読み方は小学校3~4年生くらいで習うはずなので、

現地の安全確保ができれば、今回のような現地調査は子どもたちにもできると思います。

多少の補助は必要だと思いますが、図面と地図を見比べながら、自分たちで目的物を探し当てる、

というのはなかなか面白い作業です。大人でも興奮しますから(笑)

「自分たちで考えて、発見すること」のおもしろさ。

GO▶︎つくる大学で講義化してみたいなと、思います。

 

……個人的には、ドローンを飛ばして、「完成してたら、こんな感じで走ってた」っていう

映像を撮るとおもしろそうだなと思うんですけど、どうでしょう、浜田市さん(笑)

(文・写真 事務局B)

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