2025年11月15日(土)に江津市波子町で文化祭が開催されました。今回、文化祭の中で「波子10年展」を企画させていただいた島根県立大学の柳井海音が当日の様子をご紹介します。

はじめに、私は6~7月に波子でヒアリングを行い、年中行事を運営する人々や町の歴史に詳しい住民、新しい風を生む担い手と出会いました。人口700人未満の小さな町に、「みんなで創ろう、住みたい・行きたい・帰りたい波子町を!!」という将来像を掲げた「波子ビジョン」や、地域活性化のために動く「活波クラブ」が存在し、未来に向けた主体的な取り組みが10年続いていることに感銘を受けました。
この「波子ビジョン」は、波子町が持つ赤瓦の街並みや文化・歴史、海や温泉といった豊かな自然環境を活かし、子どもから大人まで顔の見える関係を築きながら、地域の絆を強め、住民一人ひとりが主体的に関わる“全員参加型の町づくり”によって人口増加につなげていくことを目指したものです。
一方で、ビジョンの達成期限が今年(2025年)であることに気づき、町の将来に自分も貢献できないかと考えました。そこで、波子の「今」と「これから」を考える場として「波子10年展」を企画しました。

文化祭は主に、波子オリジナルカレンダーの販売を行う受付、出店や神楽公演が行われる賑わいの空間、そして展示ブースの3つに分かれて構成されました。その中で企画した「波子10年展」では、この10年間、波子がどのような町づくりを積み重ねてきたのかを一目で感じられる写真展と、「波子の残したいところは?」というアンケートを実施しました。
写真展には、町が前進してきた軌跡だけでなく、住民にとって懐かしさを呼び起こす風景や行事の写真も展示しました。これにより、写真をきっかけに住民同士が思い出を語り合い、コミュニケーションが自然に生まれてほしいという思いを込めました。また、町外から訪れた人々にとっては、波子が小さな町ながらも主体的に地域活性化に取り組んできた過程を知る機会になればと考えました。
さらに展示の最後には、「波子の残したいところは?」というアンケートを設けました。過去や現在を振り返るだけで終わらせるのではなく、一人ひとりが波子の未来に思いを巡らせる時間を持つことが、これからの町づくりにつながると考えたからです。

文化祭前は波子の皆さんに興味を持ってもらえるのかと不安な気持ちもありましたが、腕を組みながら1人でじっくり見る人、笑いながら2,3人で当時のことを話す方、私に「この写真は何?」と質問してくださる方など、コミュニケーションをとってもらうという状態も作ることが出来ました。

アンケートでは、来場者に「波子の残したいところ」「行ったことがある場所」などについてシールを貼ってもらい、合計259個のシールが集まりました。今後の波子の町づくりを進めていく上で、1つの材料として活用していってもらえたらいいなと思っています。
また個人的には、想定していた以上に多くの人が足を止め、迷いながらも一つひとつ丁寧にシールを貼ってくれたことが強く印象に残りました。それは単なるアンケートへの協力というよりも、「自分なりの波子への思い」を形にしようとする行為に見え、波子という町が多くの人にとって大切な存在であることを実感する瞬間でもありました。
1つ課題を挙げるとすれば、「波子ビジョン」を十分に強調できなかったことが心残りな点です。しかし、「波子10年展」を見に来た人が楽しそうにしている姿を見て達成感を味わうことが出来ました!
改めて、今回の展示を全面的に手伝ってくださったコミュニティセンターの大崎さんや河村さん、地域の皆さま、文化祭に足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。










