第13次ワラバラ探検隊|噺山、死ノ彷徨

今年の日本列島、少なくとも島根県は暖冬だ。

まったくと言っていいほど雪が降らない。

雪どころか、

「四季から冬が消滅したのでは?」

というくらい気温が高い。

そうなると、実に探検がしやすい。

 

なぜ暖冬だと探検がしやすいのか?

結論から申し上げると、

・冬は里山四天王(熊、猪、蛇、蜂)がほぼお休み状態

・雪が降らなければ山に入りやすい(探検先の多くが山なので)

せいぜいこれくらいが理由だが

”安全第一”がモットーである我々の探検には

非常に好条件の2019年冬シーズン。

 

とても暖かい冬だった。

この先ずっと、こんな天気が続くと信じていた。

 

 

 

コ○ン「アレレ~?この道の脇の白いものはなんだろ~?」

2020年2月17日午前10時。

我々は島根県江津市桜江町長谷(ながたに)を車で走っている。

 

えっ

いったい暖冬とは何だったのか。

「一足早い、春のピクニックだぁ~」

とか思っていた自分の愚かさよ。

今年度屈指の冷え込み。

まったく想定していなかった雪中探検となった。

もはや冬の八甲田山へ挑む心境である。

ワラバラ探検隊は生きて下山できるのか??

 

タント号 V.S. 雪の坂道

ラスボス感あふれる噺山

噺山(はなしやま)――

島根県江津市桜江町と同県浜田市金城町の市境にあり、標高は475メートル。

桜江町出身の知り合いにこの山のことを聞いたが

「そんな山あったっけ?」

という反応が多かった。

有名な山ではなさそうだが、事前の情報収集によればこの山は

『童話”舌切雀”原話の里』らしい。

舌切雀のあらすじは割愛するが、雀の舌を切るなんてひどい話だ。

(たとえ東京都から警告されても、我々探検隊が全力でスズメを保護する!)

 

雪道でも法定速度で爆走するタント号

想定外の雪には見舞われたが、登山口近くまで車で行けるらしく、

思ったほど激しい探検にはならないだろう、というのが事前の予想。

 

登山道へ続く道に入った途端、轍が消えた。

ここまでの道には雪はあってもある程度溶けていたので問題なく走行できたが、

男3人+重戦車ODAWARAを乗せた探検軽車両タント号(2駆)でどこまで行けるか。

 

するん、するん、するん……

案の定、タイヤは空転奉り候。

のぼりはじめて100メートルも進んでいない。

大自然の猛威(積雪3cm)の前に、人はこんなにも無力なのか……。

噺山、侮れない……!

 

to be continued…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪の噺山を”徒歩”で攻略せよ

まだだ、まだ終わらんよ!

かのマリー・アントワネットも

「タントがダメなら、ご自身の足でお歩きになればいいじゃない」

と申し奉り候。

我々に残された道は ” 徒歩 ” のみだ。

 

雪の坂道をバックで下りるオダワラ旅団長。男らしい所作にボンコバラ上級特務大尉もドキッ!

車を置いて徒歩で山頂を目指す。

タイヤが空転した場所をあっけなく通過。

ここで今回の探検メンバーを紹介しよう。

隊員番号7番・モリヤマ(写真中央)。

モリヤマ隊員は第8次探検、第12次探検に参加した歴戦の猛者である。

 

そして新入りのマツモト隊員(写真左、隊員番号12、趣味シロアリ)

マツモト隊員は以前コチラの講義に参加してくださり、

この探検隊にも興味をしてしてもらった。

相も変わらず男だらけのウホウホ探検隊だが、今回はこのメンバーでお届けする。

 

道路を横切るアニマルの足跡。

用途不明の階段。

どうやらこの道は林道のようだ。この道ができる前はどんな道で山へ向かったのだろう。

のぼるにつれ、少しずつ雪が深くなっていく。

体温上昇により人間蒸気機関車と化したオダワラ旅団長。

蒸気機関をクールダウン。

突然の吹雪! 噺山が牙をむく!

オダワラは ぜんのつえを てにいれた(毎ターンHP小回復)

雪山でもバリバリ仕事をこなすオダワラ旅団長。「馬鹿野郎! その株はいますぐ全部売るんだ!」

雪の重みで道路へ倒れてしまった竹を撤去。

見せもんじゃねぇぞ!!

竹を切ったあとのザバスはうまい。半額だからさらにうまい。

ひたすらのぼる。

車を停めた場所からおよそ50分。

山頂手前の遊歩道入口に到着した。

そこにはひらけた場所があり、おそらく車でのぼった場合はここに駐車できるのだろう。

 

なんとここから山頂までたったの260メートルほどらしい。

車でのぼれば相当楽だが、「山に登った感」はかなり薄まりそうだ。

また、看板にはしっかりと

『童話”舌切雀”原話の里』

と書かれている。

舌切雀の原話とされる『火焚雀』

 

ちなみに、看板には

『地域社会ボランティア活動
オチュン 善の杖

との文言も。

 

看板の柱には塩ビ管が括り付けられていた。

おそらく、この遊歩道をのぼる際に使ってもらう杖をストックするためのものなのだろう。

この日は雨傘が一本入っているだけだった。

※先に登場した善の杖は、雪で道に倒れ掛かっていた竹を切り出して使いました

 

登山口から山頂までの遊歩道はとても歩きやすい(雪が降らなければな!)

途中、休憩用のコンクリート製のベンチも。雪かきする旅団長「もう足と心臓と肺と血管と汗管が限界!」

強風によって雪が吹きつけられた木々たち。

ひらけた場所がみえる。山頂は近そうだ。

いよいよ山頂へ!

 

噺山、攻略!

車を停めた場所から約1時間。山頂に到着。

山頂から日本海を望む。よい眺めだ。

 

温泉リゾート施設『風の国』も見える。

山頂には小さな祠があり、天神さまが祀られている。

国土地理院御用達

山頂からは360度ほぼパノラマで周辺を見渡せる。

つまり、遮るものがないので風がハンパない。

1時間山道を歩きつづけて熱くなった体が急激に冷却されていく。

ああ、ここに温かいコーヒーの一杯でもあれば……

しかしここは島根県江津市桜江町と島根県浜田市金城町の市境の山の中。

そんな環境で温かいコーヒーが飲めるわけが……

 

「あるよ」(CV 田中要次)

そこにはやかんでお湯を沸かす旅団長の姿が!

最近ネットで買いそろえたという道具と、

Make Your Own Gear学という

GO▶︎つくる大学の講義でつくったアルコールストーブで

手際よくセッティングする旅団長。

 

火の具合をチェック。はじめチョロチョロなかパッパ(←どういう意味?)

蒸気が!

まごうごとなき珈琲也。

マドラーがないから、そのへんに生えてる草の茎で混ぜるぜ~? ワイルドだろ~?(ワイルドぼんちゃん)

攻略を祝して。

冬の雪山でお湯を沸かしてコーヒーを飲むなんて、

カッコイイひとたちのやることであって、

我々のような弱小探検隊には無縁だと思っていたが、

カッコイイだとか弱小だとかいつも途中で引き返すビビリ野郎だとか、

そんな誰かの価値基準なんて、

このコーヒーの前では野暮だ。

ただたたコーヒーがうまい。

体が温まる。

 

それでも強風は吹き続け、

徐々に天候が悪化しだしたので下山することに。

次は天気のよい、温かい春にでも再訪するとしよう。

噺山、攻略完了。

 

おまけ1 温泉リゾート・風の国

下山すると時刻は午後1時前。

3時間におよぶ過酷な探検で隊員たちは疲労困憊、空腹をひっさげていた。

噺山のある江津市桜江町長谷は市内でもかなり山の中にある地区だが

温泉リゾート施設・風の国がある。

1995年にオープンしたが、業績不振で2018年に江津市が譲渡先を公募し、

ちょうど1年前の2019年2月に譲渡先が決まり、再出発した施設だ。

温泉はもちろん、食事も宿泊もできる。

敷地内には手漉き和紙でさまざまな作品や製品をつくっている

石州勝地半紙(せきしゅうかちじばんし)の工房もあって、手漉き体験もできる。

腹がペコちゃんな探検隊一行はレストランへ直行した。

 

テーブル席のほかに座敷席もあり、小さな子ども連れでも安心して利用できるぞ。

担々麺

半ステーキ+うどんセット

うまし!!

定食、丼、麺ものなど、種類も豊富だ。

 

おまけ2 ウホッ!男だらけの湯けむりとアイス

腹は満たされた。

しかし山をのぼろおりしたので、けっこう汗をかいている。

温泉リゾートに来たのに温泉に入らずに帰ることができるだろうか。

いやできない(反語)

ということで、温泉もいただくことに。

浴室内のあられのない姿は自粛致します。

熟考に熟考を重ねる旅団長。真剣な眼差し。

喰らうものたち。

当初の予定であれば、先日道の駅で開催されたグルメグランプリにおいて

スイーツ部門で優勝した『もち麦と大麦若葉のアイス』なるものを検める予定だったのが

先方の急用により、この日は試食を断念した。

聞けばもち麦のプチプチとした触感と、

大麦若葉のあっさりした風味が絶妙な商品(らしい)

アイスにはあのシックスプロデュースが使用されているそうなので

そりゃあ美味しくないわけがないですよね~。

これについてはまた別の機会にレポートしたい。

(風の国での販売希望!!)

風の国、ぜひご贔屓に!

 

温泉リゾート 風の国
https://www.kazenokuni.jp/

石州勝地半紙
https://sekishu-kachijiwashi.com/

石見麦酒のクラフトビールが買える!

魔王を呼び起こす祭壇(嘘)

 

to be continued…

次回
天狗ノ山ノ”タマト”様 前編

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