事務局Bです!
みなさんは“未成線”という言葉を聞いたことがありますか?
今年(2018年)4月1日に、江津市から広島県三次市を結ぶ
JR三江線が“廃線”になったのはご存知の方も多いかもしれません。
未成線と廃線はちょっと違います。
“未成線”とは、簡単に言うと、未完成に終わった鉄道路線のことです。
途中までつくったけど、や~めた、という感じです。(そんなに軽くないか)
この未成線、全国にけっこうな数があります。
島根県内には、
・広浜鉄道今福線(広島県可部-島根県浜田市 ※wikipediaには可部線と記載)
・岩日北線(山口県岩国市北部-島根県津和野町日原)
未成線が2つあります。
このうち、今福線は、浜田市側から工事が始まり、
建設途中のままの遺構が数多く残存しています。
そんな浜田の未成線・今福線ですが、建設中止になってからは
特に見向きもされず、ひっそりと時間が経過していました。
一方、2010年に島根県技術士会で“今福線研究分科会”が設立され、浜田市内にある遺構の調査が行われます。
廃線マニアほどではないそうですが、未成線マニアなる方々もおられるそうで
同会が今福線マップを作成。
それが浜田市の目にとまり、今では観光資源としての活用に向けて活動が続いています。
実は私 事務局Bは、島根県技術士会の準会員でして(まだ1次試験しか合格してませんが……)
今福線研究分科会の部会員でもあります。
かれこれ5年ほど活動に参加しており、これがなかなか面白いので
今回はその様子をちょっとレポートしたいと思います(前置き長くてすみません)
未確認のトンネルを調査せよ
今福線研究分科会は毎年活動しており、年に1回現地踏査を行っています。
今年(2018年)はいくつかある遺構のうち、同会として未だ確認ができていない
『有福第四トンネル』
を発見するのが、現地踏査の目的の一つでした。
トンネルには下府川を渡河する必要があり、今までの意向調査の中では難易度は高めです。
※今福線の遺構への立ち入りは許可された場所以外は入れません!ご注意を。
道なき道を進み、探すこと10分。
ついに『有福第四トンネル』を発見しました。
まわりには雑木が生い茂り、コンクリート構造物特有の無機質さが、どこかもの悲しさを訴えてきます。
このトンネルの発見時の興奮は、なかなかエキサイティングなものがあります。
こどもの学びのツールとして
壮大な鉄道計画を夢見た地元の悲願は成りませんでしたが、今でこそ注目を浴びつつある今福線、
今後は地域資源として、たとえば学校の社会科授業の中にも入ってくるかもしれません。
そのときに、資料を読んだり普通に見学するだけでは、ちょっと面白みに欠けます。
そこで、こんな使い方はどうでしょう。
今福線研究分科会の調査では、当時の設計図と、地図を照らし合わせて、
おおよその位置に目星をつけて現地踏査を行います。(ここがミソ)
今福線の場合は山間地を通る路線のため、山に入らないと確認できないものがあるためです。
地図の読み方は小学校3~4年生くらいで習うはずなので、
現地の安全確保ができれば、今回のような現地調査は子どもたちにもできると思います。
多少の補助は必要だと思いますが、図面と地図を見比べながら、自分たちで目的物を探し当てる、
というのはなかなか面白い作業です。大人でも興奮しますから(笑)
「自分たちで考えて、発見すること」のおもしろさ。
GO▶︎つくる大学で講義化してみたいなと、思います。
……個人的には、ドローンを飛ばして、「完成してたら、こんな感じで走ってた」っていう
映像を撮るとおもしろそうだなと思うんですけど、どうでしょう、浜田市さん(笑)
(文・写真 事務局B)